手作りとかクラフトという言葉を
最近頻繁に耳に、目にします。
島のおばあちゃんが一生懸命手摘みしたお茶。
あれはうまかった。びっくりした。
心血注いで仕立てた鋸、木材がストンと切れました。
手織りのブランケットに顔を埋めれば瞼は重くなって‥ね。
生真面目に向き合って、時間かけて作ったものは
そりゃ気持ちいいもんです。
でも僕は、すぐ出てくる牛丼も
なにが入ってんだかわからん炭酸も
街で配っているティッシュも
激安靴下も同じくらい好きです。
前者と後者の好きは違う好きだけれど。
各々の“良きところ”を伝えていくことはいいことだと
思いますが、○○より優れている、が
あんなもんよりこっちのほうが100倍いいんだよって言い方に
なると途端に幻滅する。
個人の単位で、居酒屋の与太郎話なら愛せるけれど
大きな、例えば“作家至上主義”みたいな世界が堂々と掲げると
もう見てられない。
これは僕自身のことでもあるのでしょう。
どんなにこっ恥ずかしくても事実“作家”と呼ばれてしまうからね。
このごちゃごちゃを全部ひっくるめて容認するような
言葉があれば楽なんだろうけど、それはおそらくない。
ないこともすべて愛していければな。